和菓子で、酒で、野点で。
江戸の茶人も愛した名水
〝猿庫の泉〟の真髄を味わう

飯田市は風越山の麓にこんこんと湧き出る猿庫(さるくら)の泉。
環境省の名水百選にも選ばれたまろやかな清水は、地元・喜久水酒造の純米吟醸など
日本酒づくりにも使われ、長く地元の人びとに愛されています。

更新日:2020/09/03

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飯田の名水を閉じ込めた夏の涼菓

碁盤目状のまちなみや伝統芸能の多さなどから〝信州の小京都〟と謳われ、独自の生活様式を育んできた飯田。茶の湯の習わしとともに和菓子文化も受け継がれ、今もこだわりの銘菓が全国へと発信されています。伝統菓子から和洋を融合させた新スタイルまでさまざまですが、猿庫の名水を生かした伝統菓子はぜひ味わいたい一品です。たとえば菓匠赤門やの「猿庫の水まんじゅう」は、とろりと冷たい食感と上質なこしあんの甘さを味わえる極上のひと品。同梱された朝汲みの猿庫の泉の水を入れ青楓を浮かべていただけば、夏の盛りにも日本らしい涼を口いっぱいに感じられます。

3つ入りのはじめはそのまま、2つ目はあんを溶かして、3つ目は好みで

猿庫の泉のまろやかな水を、そのまま透き通ったゼリーに閉じ込めたのが、双松庵唯七の「寒水」です。うえにかける梅蜜には、地元・南信州エリアで採れた竜峡小梅の蜂蜜漬けを使用。ふっくらと炊き上げた小豆とともに、ゼリーの上品な甘さを引き立てます。飯田・下伊那の代表銘菓が揃う菓子処飯田のみつばつつじりんご並木店では、イートインのお客様に猿庫の泉の水で淹れたお茶を提供しています。名水が引き立てるお茶のやさしい味わいは、和菓子にも洋菓子にもぴったり。多くの茶人がこの水を愛した理由も納得できそうです。

透明なゼリーに小豆と梅蜜をたっぷりのせて、暑さを忘れるひと品です

銘酒のあるところに名水あり

おいしい酒を醸すには豊かな清水が欠かせません。飯田・下伊那エリア唯一の酒蔵として、地域の気候風土を生かした酒づくりを続ける喜久水酒造では、猿庫の泉と同水系の仕込み水を使い、この地域ならではの旨酒を製造・販売しています。なかでも、名水の名を冠した純米吟醸「猿庫の泉」は、長野県原産地呼称管理制度の認定を受けた、喜久水酒造が誇る逸品。長野県産の酒造好適米・美山錦を55%まで磨き上げ、その名の通り、猿庫の泉の湧水で仕込んだ純米吟醸酒は、上品な香りと味わいです。

名水でじっくり醸した純米吟醸酒は、長野県を代表する銘酒のひとつ

江戸期から守り継がれる地域の宝

猿庫の泉が湧くのは天竜川の源流地、風越山のふもとです。その歴史は江戸時代後期、茶人・不蔵庵竜渓によって見いだされたときにまでさかのぼります。伝承によれば、茶の湯にふさわしい水を求めて諸国を訪ね歩いていた竜渓が、天竜川の水の旨さに惹かれ、上流をたどって苦労の末に探し当てたのだとか。以来、全国の茶人の間で猿庫の名水が知られるようになり、飯田城主もこの水を取り寄せて茶の湯を楽しんだということです。遠方から名水を求めて訪れる人も増え、それがこの地域に茶の湯や和菓子文化がもたらされるきっかけともなりました。

緑陰のなか、ほどよく冷えた清水が樋から湧き出ています

清水は岩に差し込まれた筒から、樋を通って山道の近くまで流れてきます。その場で飲めるよう取水口も設けられ、軟水のまろやかな味わいと冷たい喉ごしを、自然のなかでそのまま味わえます。1951年には「猿庫の泉保存会」が発足。以来、有志の会員が毎週のように清掃や山の手入れを行い、泉周辺の環境を守ってきました。保存会では5月上旬~10月下旬の毎週日曜に、名水を使った野点呈茶会を開催。地域の財産である名泉を守り、整備しながら、全国を訪れる人をもてなしています。

毎週の野点(300円)のほか、イベントなどでお茶が振舞われることも

※野点にご参加される場合は、感染症予防対策を心がけ、事前に飯田観光協会へご連絡ください。
0265-22-4851

猿庫の泉を味わうなら

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